苦手なりの敬意

この夏は映画『国宝』の話題が多かった

興行収入が110億円を突破し
実写邦画の歴代1位になったそうだ🎬🎥

110億円ってことはチケットが1800円とすると
単純計算で大体611万人くらい観ているのか🧮

あ、でも学生割・シニア割とか安いチケットもあるから
実際はあと3割多いとして延べ794万人くらいか・・(‘ω’)

よし、まだ観てない人の方が全然多いな・・
セーフ(‘ω’)v

なんか、予告編で観た美しすぎる歌舞伎の描写に
どうにも違和感あるんだよね・・(‘ω’)

歌舞伎ってこんなに幻想的なんだっけ?

私はこれまで一度だけ歌舞伎を観たことがある
高校生の時、課外授業で歌舞伎観劇があったのだ

それも市川團十郎さんが弁慶を演じる
成田屋のお家芸「勧進帳」だ
私は幸運にも前方の花道すぐ横の席だった

高校生でそんな贅沢な経験していいのだろうか✨

もちろんダメだった
なぜなら私は花道の真横にも関わらず寝てしまったのだ💀

後日、後ろで見ていた先生からお説教を受け
それを親に愚痴ったら親がショックを受けていた😨
自分の娘が市川團十郎さんの弁慶を間近にして
寝てただなんて自分たちの育て方を反省したのだろう

でも両親には、どうかがっかりしないで✋と言いたい
なぜなら同じく課外授業で観た能に対する私の反応は違った

能楽堂に入った瞬間、背筋がぴんとする緊張と
研ぎ澄まされた洗練の美を感じた
引き算の芸術とも言われる世界観は
「雅ってこういうことなんだろうな」と思わせた

一方、私は歌舞伎からそのような美を感じなかった
もっと人間味とかエンタメの印象が強く残っている
そしてそれは私には刺さらないものだった

歌舞伎が美ではないと言っているのではない
私は「国宝」が表現するような
幻想的な何かではないところにこそ
歌舞伎の魅力があるのではないかと思っているだけだ

だから映画を観た人達が
映像が綺麗だから歌舞伎が好きじゃなくても必見だよ✨
と言うたびに私は違和感を覚えるのである

それで言うとナタリー・ポートマン主演の
「ブラックスワン」はリアルだった

ナタリーはバレリーナを演じきるために減量をし
バレエを一年半特訓して役作りに励んだことで話題となり
見事アカデミー賞主演女優賞を受賞した
その意気込みは「国宝」と通じるものがある

でもこの作品の凄さはそこじゃないのだ

主人公のニナ(ナタリー)がプレッシャーから
自らを追い詰め精神が崩壊していく様子
じわじわ何かに蝕まれていく心理描写なのである
その心の暗闇に観客を引きずり込むには
バレエが本物である必要があったのだ

徐々に重圧に潰され壊れていく姿は
もう演じているのかナタリー本人なのか境目も見えない
狂気・葛藤を体現した彼女はすごい女優さんだ

が、しかし私がこの映画に共感したのはこの先である

映画公開後になって
ナタリーが演じたバレエシーンを巡る騒動が勃発した

代役を務めたプロバレリーナのサラ・レーンは
ナタリーが実際に踊ったのは全体の5%だと主張
これに対して監督や関係者は、いや85%だと反論

サラはついにテレビで公に主張した

私の名前がクレジットにのらなかったとか
ナタリーが(アカデミー賞の)受賞スピーチで
私のことを称えなかったからという理由で
事実を主張しているわけではない

彼女は、バレエに対してもっと敬意を払うべきだと思った
たった一年半のレッスンで
22年もバレエを踊り続けている私と同じような踊りができる
なんてことになったら
私だけではなく、バレエ業界全体への屈辱になる


そうだ、そうこなくっちゃ🙌

いくら1年半必死で特訓したからと言って
本物に追いつくはずなどない
でもだからってナタリーの迫真の演技に偽りもない
演じる世界で本物を表現すればそりゃ歪みも出るだろう

それなもんだから
歌舞伎を1年半でここまで体得したのは
すごいすごいと役者を褒めたたえる声に
そして映像で魅せる美しい歌舞伎の世界に
私は違和感しか覚えないのである

門外不出のお家芸と言うのであれば
立ち入っちゃダメなものはダメ🙅
という頑固さを守ってもよかったのに

結局私が観たい美とは
本物だけに宿る凛とした精神なのだと思う

ではまた👋

ー R

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